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nishitokyo house

photo by Akira Nakamura

WORKSに西東京ハウスを追加しました。

東京の郊外の住宅地に建つコンパクトな住宅です。東西に細長い敷地いっぱいに間口2間の建物を配置し、1階にはビルトインの駐車場を設けています。

寝室や個室は最低限でもかまわないけれど、風通しの良い広々とした共用スペースがつくりたいというのがご希望で、2階をキッチンからリビングまでをひと続きの空間にし、大きな家具をソファとダイニングテーブルに絞って家の中心を作りました。リビングのご機嫌なソファに寝転がってくつろいだり、大きなテーブルで宿題をしたり絵を書いたり、キッチンでお料理に集中したり。家族が思い思いの過ごし方をしているおおらかな暮らしが想像できます。

「さて、いまだに覚めない夢の中に
いるのかと思うくらい、
僕はマイホームに家族で住んでいます。

20代のころの僕からは
ウソのようなホンマです。」

これはご主人の言葉。
インタビューでも触れられていますが、新居を考え始めた時には設計事務所と一からつくる家づくりにリアリティが感じられなかったそうです。
西東京ハウスで設計中から変わらずに根底に流れていたテーマは「普通の家」でした。背伸びしすぎない等身大の家。だからと言って誰にとってもOKな家ということではなくて、ここに暮らす家族ならではの家づくり。奥様がお好きな家具や雑貨や観葉植物、ご主人の趣味の楽器やレコードが所狭しと置かれている様子からも、自分らしく楽しく生活されているのが伝わると嬉しいです。

テキストと構成はおなじみの佐藤加奈子さん。今回も私も知らなかったような逸話までインタビューで聞き出してくださいました。佐藤さんの住宅事情への深い知識と関心にいつも助けられています。
写真は中村晃さん。端正な建物のカットも表情豊かな人物の写真もどれも素敵で、西東京ハウスの空間と空気感を写真で表現していただきました。
そして共働きでなかなか取れないご夫婦お揃いの休日を取材に充てていただいたご家族に感謝です。出会いのきっかけを作ってくださったお友達家族と一緒に食卓を囲むのも楽しい時間でした。

昔のご主人のようにマイホームにリアリティがない人たちに読んいただいて、そんな幸せなウソに騙されてくれれば良いなと願っています。
 
おまけ。
昨日は葉山へ金工作家のcicafuの展示を見に行きました。いつか欲しいと思っていたモビールを衝動的に手に入れてしまった。片側が照明になっていて影が美しいそうです(我が家ではまだ配線できてません‥)
展示は、BOOKSHOP Kasperにて9月23日まで。

hanno house

もう先月の話になりますが、飯能の住宅が竣工しました。
川沿の道から少し入ったところにある敷地は見晴らしが良く、爽やかな風が吹き抜けます。

柔らかいグレーの外壁にダークブラウンの板金、製作した木製の建具が印象的な外観は初めて挑戦した組み合わせでしたが、クールすぎず暖かすぎもしないちょうどいいニュートラル具合で、足場が取れた時には嬉しくなりました。

引越し後に訪れると、古道具が好きなオーナーがひとつひとつ丁寧に選んだ家具や道具がセンス良く配置されていました。家の設計をする前から準備されていたというアメリカ製のガスコンロ、オーナー馴染みの古道具屋さんで手に入れた古いガラスを嵌めた内窓や欄間、パーケットフローリングを張った床や階段、淡い黄色のタイルの浴室など、少し懐かしいテイストを取り入れたディテールともぴったりでした。

スーパーできる現場監督さんと大工さんをはじめとした腕のいい職人のみなさんに担当していただいたおかげで驚くような精度で納まり、隅々まで気持ちがいい。感謝しかないです。

春は桜並木、初夏は涼しげなせせらぎを感じる川沿いの遊歩道も素晴らしく、半年の現場通いですっかり飯能が好きになりました。

少し涼しくなった頃に外構にも着手されるそうで、それも楽しみです。

nisitokyo house, utsunomiya house

竣工して1年半の西東京ハウスと、10周年になる宇都宮ハウスにうかがいました。

お気に入りのソファとテーブルを中心にグリーンをふんだんに取り入れたインテリアの西東京ハウス。玄関前の小さなスペースにも植物が青々と育っていました。

旅先で手に入れたカラフルなオブジェや雑貨がセンス良く取り入れられたインテリアの宇都宮ハウス。表札があるべきところに魚のオブジェが掛かっていたりして、いつ行っても好きなところばかり。
10年が経ちお子さんも成長されて、階段の保護ネットが取り外されていました。スチールの階段のささらにマグネットでピンナップしたり、カラフルな紐を手すり子に絡めてクリップしたり。素敵なアイデアです。
傷んだウッドデッキを今年補修をしたそうですが、使える材料は再利用したのだそうです。

どちらも住みこなし方に工夫や個性があって、でも不思議と落ち着く、そんな心地よい場所になっていました。
いつものように写真とインタビューで紹介しようと準備中です。どうぞお楽しみに!

akiruno house / 住まいの設計

あきる野ハウスが「住まいの設計」8月号に掲載されました。
特集「自分らしいキッチン&美しいバスルームと暮らす」で「無駄をそぎ落とした潔く美しいキッチン」と紹介していただいています。

3年が経過したあきる野ハウスですが、昨日引っ越したと言っても信じてしまいそうなほどすっきりしたお住まいは、とても小さなお子さんがいる家族とは思えません。いつも我が家に戻ってくると断捨離したくなります‥。

「掃除や片付けはどちらかというと苦手。だからものを持たないようにしているだけ」とは奥さまの言葉。ちゃんとしまう場所があれば片付くはずですもんね。ものがあふれちゃうと片付けるのも億劫になります。

でもただものが少なければいい、シンプルならばいいと思われているわけでもなさそうです。
例えばキッチンカウンターは、シンクとガスコンロだけのシンプルなステンレスのカウンターですが、水栓は機能的で見た目にも一目惚れしたという厨房仕様を選択。おそらくストレートデザイン史上一番高価なキッチン水栓です(笑)
キッチンカウンターの下にはBISLEYの事務用のスチールキャビネットが置かれています。深さの浅い引き出しはカトラリーの収納にも便利と聞いて、なるほど!と思わずにはいれませんでした。
食器棚は壁付けにした小さな合板製。収まっている食器はイッタラのTeemaなど和洋中なんでも活躍しそうなものばかり。小さなお子さんも樹脂製の子供用ではなく大人と同じ食器を使っていました。同じ食器を色違いで揃えたカラフルな食卓の風景も素敵でした。

自分にしっくりくるものを必要なだけ。そんな思いがそこかしこに感じられます。

玄関から靴のまま庭まで通り抜けられる土間もあきる野ハウスの特徴です。通り抜けた先には建て替え前からある紅葉の木が青々として、美しい影を落としていました。

書店で見かけた時にはぜひお手にとってみてください。

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