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utsunomiya house

photo by Takeru Koroda

worksに宇都宮ハウスを追加しました。

宇都宮ハウスは2009年に竣工したので、今年でちょうど10周年となりました。竣工した年に生まれたお子さんは小学生に成長し、庭に植えたアオダモとシラカシはすっかり立派に成長しました。

10年が経てば外壁は色褪せ、デッキは痛み、白かった壁の汚れが目立つのはやむをえないことですが、庭の植物を丹念に育て、子供の成長に合わせてしつらえを整え、フローリングや家具をメインテナンスしなが育てることで経年変化が魅力になるところもたくさんあります。
変化に対応できる計画をしておくことや、構造や環境性能など変わらないところをしっかり計画すること、経年変化を想像して素材を選ぶことはもちろん大切ですが、日々愛情をもって暮らすことなくなし得ないなあと、宇都宮ハウスの10年間を経験してつくづく感じました。

写真はおなじみの来田猛さん。なぜか撮影の日は天気に恵まれませんが、来田さんの手にかかればそれもネガティブな要素にならないのが頼もしいところです。
テキストと編集は佐藤可奈子さん。佐藤さんには新築の頃に雑誌の取材をしていただきました。10年ぶりに再会した宇都宮ハウスはどうだったのか。少し長いテキストですがぜひご一読いただきたいです。
新築時よりも10年後が良くなる家が作りたいというのが目標で、10年後のレポートはどうしても叶えたかった企画でした。リクエストに快く応じてくださったオーナーに感謝です。

次の10年間‥となると、もしかするとお子さんは巣立っているかもしれませんね。またレポートできたらいいなあと思います。

harajyuku flat / I’m home

photo by Natsuki Hamamura

原宿フラットが雑誌「I’m home」no.102, November 2019 に掲載されました。
特集「HOME LOVES CATS & DOGS 猫と犬と、住まいと」にて「猫と犬のための設計アイデア集」の事例として取り上げていただきました。

道路を見下ろせる「眺めと日当たりのいい窓際」と、本棚を利用した「DIYキャットステップ」が、図面と美しい写真で紹介されています。実際にお伺いすると、愛猫のまきゃべりはこのあたりにいることが多いので、猫心をくすぐる場所なのかもしれません。

部分的な取材だったこともありますが、1時間ほどでスムーズに撮影が完了したのはまきゃべりの多大なる協力のたまものでした。ポーズがサマになっています。
いつも快く応じてくださるオーナーさんと、ちょっと迷惑そうにしつつも付き合ってくれるまきゃべりに感謝です。

特集は事例紹介(すばらしい豪邸ばかり!)、グルメ(手作りドッグ&キャットフード!)、ペットグッズ、ペット同伴できるカフェ&ホテル‥と幅広く網羅されています。書店で見かけた時にはぜひ手にとってみてください。

おまけ。
ここ最近、器愛が止まりません‥。
上の写真は、直井真奈美さんの脚付きの菓子皿。昨日からPOOL+で始まった個展は今月の21日まで。
下の写真は、国立の器屋さんのgarageにて、斎藤十朗さんの深い青色の釉薬が美しいお皿、関口憲孝さんのブルーグレーのお皿、十朗さんの素焼きっぽい蕎麦ちょこと作者不明の蕎麦ちょこ。

世の中にいい器がたくさんありすぎて困ります。

nishitokyo house

photo by Akira Nakamura

WORKSに西東京ハウスを追加しました。

東京の郊外の住宅地に建つコンパクトな住宅です。東西に細長い敷地いっぱいに間口2間の建物を配置し、1階にはビルトインの駐車場を設けています。

寝室や個室は最低限でもかまわないけれど、風通しの良い広々とした共用スペースがつくりたいというのがご希望で、2階をキッチンからリビングまでをひと続きの空間にし、大きな家具をソファとダイニングテーブルに絞って家の中心を作りました。リビングのご機嫌なソファに寝転がってくつろいだり、大きなテーブルで宿題をしたり絵を書いたり、キッチンでお料理に集中したり。家族が思い思いの過ごし方をしているおおらかな暮らしが想像できます。

「さて、いまだに覚めない夢の中に
いるのかと思うくらい、
僕はマイホームに家族で住んでいます。

20代のころの僕からは
ウソのようなホンマです。」

これはご主人の言葉。
インタビューでも触れられていますが、新居を考え始めた時には設計事務所と一からつくる家づくりにリアリティが感じられなかったそうです。
西東京ハウスで設計中から変わらずに根底に流れていたテーマは「普通の家」でした。背伸びしすぎない等身大の家。だからと言って誰にとってもOKな家ということではなくて、ここに暮らす家族ならではの家づくり。奥様がお好きな家具や雑貨や観葉植物、ご主人の趣味の楽器やレコードが所狭しと置かれている様子からも、自分らしく楽しく生活されているのが伝わると嬉しいです。

テキストと構成はおなじみの佐藤加奈子さん。今回も私も知らなかったような逸話までインタビューで聞き出してくださいました。佐藤さんの住宅事情への深い知識と関心にいつも助けられています。
写真は中村晃さん。端正な建物のカットも表情豊かな人物の写真もどれも素敵で、西東京ハウスの空間と空気感を写真で表現していただきました。
そして共働きでなかなか取れないご夫婦お揃いの休日を取材に充てていただいたご家族に感謝です。出会いのきっかけを作ってくださったお友達家族と一緒に食卓を囲むのも楽しい時間でした。

昔のご主人のようにマイホームにリアリティがない人たちに読んいただいて、そんな幸せなウソに騙されてくれれば良いなと願っています。
 
おまけ。
昨日は葉山へ金工作家のcicafuの展示を見に行きました。いつか欲しいと思っていたモビールを衝動的に手に入れてしまった。片側が照明になっていて影が美しいそうです(我が家ではまだ配線できてません‥)
展示は、BOOKSHOP Kasperにて9月23日まで。

hanno house

もう先月の話になりますが、飯能の住宅が竣工しました。
川沿の道から少し入ったところにある敷地は見晴らしが良く、爽やかな風が吹き抜けます。

柔らかいグレーの外壁にダークブラウンの板金、製作した木製の建具が印象的な外観は初めて挑戦した組み合わせでしたが、クールすぎず暖かすぎもしないちょうどいいニュートラル具合で、足場が取れた時には嬉しくなりました。

引越し後に訪れると、古道具が好きなオーナーがひとつひとつ丁寧に選んだ家具や道具がセンス良く配置されていました。家の設計をする前から準備されていたというアメリカ製のガスコンロ、オーナー馴染みの古道具屋さんで手に入れた古いガラスを嵌めた内窓や欄間、パーケットフローリングを張った床や階段、淡い黄色のタイルの浴室など、少し懐かしいテイストを取り入れたディテールともぴったりでした。

スーパーできる現場監督さんと大工さんをはじめとした腕のいい職人のみなさんに担当していただいたおかげで驚くような精度で納まり、隅々まで気持ちがいい。感謝しかないです。

春は桜並木、初夏は涼しげなせせらぎを感じる川沿いの遊歩道も素晴らしく、半年の現場通いですっかり飯能が好きになりました。

少し涼しくなった頃に外構にも着手されるそうで、それも楽しみです。

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