フラウピルツ Konditorei und Café, Frau Pilz

キノコ婦人のドイツ菓子

古い住宅を購入し、「ここでドイツ菓子のお店をするんです」という計画をオーナー夫妻からうかがったのは、お店がオープンする実に3年前でした。途中何度かお話しして、いよいよプロジェクトが始動したのはそれから2年が経過した頃。築十数年の1階RC造+2,3階木造の既存住宅の1階部分をショップと小さな喫茶スペース、機能的な厨房、菓子の材料や資材をストックするパントリーにコンバージョンし、2,3階をオーナー家族のための居住スペースにリノベーションしました。
予算を有効に利用するため、既存の躯体を活かした改装をしています。例えば、外装はお店のファサードなど必要な部分だけに手を加えること、住居スペースでは元々の間取りを活かしてコンパクトで使い勝手の良いユーティリティ・バススペース、キッチンを計画すること、店舗部分ではコンクリートの躯体にはなるべく手を加えず、既存の仕上げを取り除き、すっきりとした引き算のデザインをすることを心がけました。壁の左官仕上げやペンキ塗りなど自分たちでできることは自分ですること、キッチンや洗面台などまだ十分に使えるものは再利用することなどで予算をセーブすることも。そのかわりに厨房機器やオリジナルのスチール建具など、こだわりたい部分には妥協しないことが可能になりました。

Frau Pilzとはドイツ語で「キノコ婦人」。オーナーが大のキノコ好きで、ほとんど悩むことなく決まったのだそう。赤に白い斑点のあるキノコはドイツでは幸運のシンボルなのだそうです。
店の主役である色とりどりのお菓子と、膨大なコレクションから選ばれたキノコのオブジェをディスプレイするためのフレームになるように、白を基調としたシンプルなデザインにしました。内装は漆喰の壁、モルタルの床、オリジナルにデザインしたシナ合板製のカウンター、ディスプレイ棚、テーブルなどの什器で素材感を活かした仕上げをおこない、ちょっと素っ気ないくらいのすっきりしたデザインを目指しました。素朴だけど一口一口が味わい深いFrau Pilzのドイツ菓子の雰囲気が店舗からも伝わるとうれしいです。

Konditorei und Café, Frau Pilz
2010年11月 京都一乗寺にオープンしました

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竣工 2010年9月
設計 straight design lab / 東端 桐子
家具デザイン・製作 camp / 大原 温
サイン計画 宮city
施工 (有)R建築. 森